点Pの妻だと言われていた女性は、実は点Qであり、亜光速で移動し続けていた。
点Tが開発した『タイムマシン』に乗り、重なり合わない妻との初デート日時を目指す点P。だが、彼らは時間そのものに対する前提を間違えて居た。
時間とは連続した一方通行の流体ではなく、むしろ川の中にある飛び石のようなものだと。

「せをはやみ いわにせかるるたきがわの われてもすえに あわんとぞおもう」

残された一首は隠岐に流された崇徳院の怨念なのか、あるいは点Qの願いなのか。

時間跳躍ミステリ『動点Pの垂線』