作曲の先生が、フレーズの分析結果を述べる際に、感情で表現するのを凄く嫌がるんですよね。
音が上がったのか、下がったのか。距離はいくつなのかという具体的な事実を述べろと。
でも、アドリブの演奏なんかは感情でOKなんです。
私もだんだん感覚がわかってきたんですけど。
「物理法則」と「感情」を切り分けて、この両方を高度な次元で構築するのが「音楽」だという考え方ですね。
いわば、「音楽=人間」だととらえるわけです。
「人間」という存在は、99.999パーセントぐらい、非常に高度な「物理」に従って造られています。脳がどうとか、骨がどうとか。みんな共通しているので、医学で治療できるわけです。人間を細かく解析していけば、遺伝子レベルまで、凄く細かな「理屈」が出てきますよね。
いっぽう、人間は、99.999パーセントぐらい「感情」に従って動いています。規則性がない。だから、みんな言ってることややってることがバラバラなんです。
この両方を、バランスよく観察しないと、「人間」を正しく把握できない。
「音楽は感情です」で終わらせちゃうと、音楽の物理的な骨格や遺伝子が欠落してしまうということです。