スキルの使い方は分かっているが、自分の強さは全く分からない。
そもそもこの世界のことは何一つ分かっていない。
天使がいるということは、いよいよ異世界であることだけは確信できるのだが……。
数分間は天使の背中とにらみ合いをしただろうか。突然、天使が動き出した。
俺はタブレットを握りしめ、戦闘になる覚悟を決める。奇しくも武器と呼べるものは何もないが、いざとなれば逃げるしかない。
そう考えていると、天使は地面につけていた膝を動かし、立ち上がる。
それほど身長(?)は高くない。
ちなみに俺の身長は175cm、低くもなく高くもない。天使は150〜155cmといったところだろうか?少し小さくすら見える。
そして、天使がこちらを振り向いた。
「ドイルさん、ですね?」
どうやら俺のことはすでにバレているようだ。俺は観念して木の陰から姿を見せることにした。