ドアがどこに繋がっているのかは分からないが、まさか「壁の中にいる」なんてネタみたいなことにはならないだろう。
ドアノブに手をかけて、回す。
ドアは思いの外、簡単に開いた。
ギイッ……
効果音がホラーゲームのドアと似ている。
「いざ、"レミルメリカ"へ。」
ドアをくぐると、目の前にはすべてが先ほどのドアと同じ灰色の石材で作られた空間が広がっていた。
これは……
ドアを出た俺の目に飛び込んできたのは石で作られた十字架だった。
石のくぼみが十字架の形になって、そこからオレンジ色の光が漏れている。ステンドグラスか何かがはめ込まれているのだろう。夕日に照らされているかのようだった。
それなりに高さもあるようだが、左右はどちらも壁になっている。
カタコンベ……俺の頭に最初に浮かんだのはかつてキリスト教者たちがつくった地下墓地だった。
ここはどこだろうな。
こういう時は焦ってはいけない。俺は冷静に辺りを観察してみることにした。