どうやら捕獲用の魔法を使われているらしい。誰かに差し出すとか言っていた。
ここに入るのには許可もいるようだし、警備員みたいなものか?
"身体硬化"はおそらく発動している。薄い膜のような魔力が身体を覆っているのが分かる。
しかし、"管理者権限"の詳しい内容を探っている暇はない。ならば、ここはTOMOKI++さんを信じる。
俺は石の壁の中で腕にグッと力を込める。
「誰だか知らないが、始まったばかりでいきなり捕まるわけにはいかないんだよ!」
俺は一か八か、石の壁を思い切り殴りつけた。
ドゴォォォォォォ
大きな音を立てて目の前の石の壁に穴が開いた。穴を中心に亀裂が広がり、石の壁は崩れさる。
「マジかよ。」
まさかこんなに簡単に壊れるとは思っていなかった。
殴った方の腕にも傷一つ付いていない。"身体硬化"の力なのか、それとも基礎力のおかげなのか。
「なっ!"プリズマリン"をこれほど容易く砕くとは!どうやら力を見誤っていたようですね。」
壊れた石の壁の向こうには、体格のよい男が立ってこちらを警戒していた。