大量の煙を見ながらも彼は警戒を怠らなかった。"プリズマリン"と"エンダーチェスト"の組み合わせは彼の持つ技の中でも、最高クラスの捕獲力と防御力を誇っている。魔獣ですら捉えたことがあるこの束縛からいとも簡単に逃れることができる相手に油断はできない。先ほどのTNTも、本来は建物を一撃で破壊するためのものだ。
「まさか、これをくらって無事にすむとは思えませんが。」
煙が晴れていく。礼拝堂の中でこれほどの威力のものを使ってしまったことは後悔をしないわけではないが、これはすべて彼のスキルによる建造物。"素材"があれば作り直すことができる。
スキル"クラフト"
採取された"素材"を元にスキル使用者の望む無生物を作り出すことができる。一度作られた無生物は、同じスキルで作った爆発物や武器もしくは使用者よりも高い攻撃力を持つ相手の攻撃でなければ破壊できない。
これは戦闘用のスキルではない。ここまで攻撃できているのは、彼の腕によるものだ。
爆発で砕けた椅子、クレーターのように陥没した地面が見えてきた。
「ま、まさか……。」
そこには男が立っていた。
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