大きな爆発音と共に地面が揺れた。
作業をしていた男は手を止めて立ち上がる。
「今のは、爆発音?」
音は建物の中から聞こえたように思える。
何かあったのかもしれない。
たしか、外の作業に目処がついたから大聖堂の方を見に行くと言っていたはずだ。
「まさか、残党がいたのか?」
このミコエル神殿は、先日、魔物に襲われた。何者かが神殿の結界を破ったことで、魔物が神殿内に侵入したのだ。
偶然、会談のために神殿に来ていた異端審問官・クリスエスとKAIの2名、そして、名前は名乗らなかったが礼拝のために訪れていた2名の戦士によって、魔物たちは討伐された。その際に神殿が破損したことで、今は神殿の中には誰もいれず、修繕工事が行われているのである。
もし残党がいたならこうしてはいられない。
男は作業を中断し、神殿の内部へと走り出した。
走る男の首では銀色のネームタグが揺れている。このネームタグは国家から認定された技師の証。そして、そこにはこう刻まれている。
"国家認定建築技師・タダトモ"
"称号 ダンテP"