「どうせ信じないだろうが、俺は残党じゃない。そもそもこの世界には来たばかりなんだ。ただ、分かってもらえないなら、ここは無理にでも切り抜けさせてもらう。」
もう先手を取られるわけにはいかない。
俺はすでにミコエルの力を身に纏っている。
威力の調整はどうなるかわからないが、とりあえず魔法の準備をする。
「そうはいかない!"ミライノート"」
スキルか!
やはり先手を取るしかないな。
『タイムライナー』
タイムライナーは時をかける"混沌"の魔法だ。大天使ミコエルの力がなければ発動できない時間の境界線を捻じ曲げる魔法。実際に時間を操作するのではなく、使用者の周りの時間の認識を遅らせる。
相手は気づかないうちに時間を遅く認識するようになっているから、必然的に魔法やスキルの使用、攻撃の反応が遅れてしまう。といっても、ほんの数秒しか効果はない。
だが、ミコエルの力があれば数秒でも十分だ。相手はスキルの名前を叫んだが、まだスキルが発動した様子はない。
俺は続けざまに魔法を放つ準備に入った。