ノートのページには、はなぽさんが直した椅子がそのまま投影されている。
背景はなく、写真を切り抜いたようなイメージだ。
「はなぽさん、この椅子は大丈夫そうです。」
タダトモさんは何を言ってるんだ?
同じ椅子がノートに出てきただけで変化はない。タダトモさんは不思議そうな顔をしている俺に気づいたらしたい。
「何も変わらないとわかんないですよね。」
そんな笑いながら言われてもな。
「ミライノートは触ったものの未来をノートに描く力なんです。」
「未来を描く力?」
聞くだけではよく分からない。
「ミライノートは、このノートに触ったものの1年先までの姿を映し出すことができるんですよ。1年は最長で、1番短いと10分後までですけどね。」
ミライノートとはそういうことか。
攻撃用のスキルではないが、検査士には有用な力であることは間違いない。
建物を触れば、1年後に立っているかどうかもわかるんだからな。
「それ、物だけじゃなくて人にも使えるの?もっと微調整もできる?」
聴きたいことが多すぎて質問だらけになりそうだ。自重しよう。