アナザーストーリー:団長の憂鬱1
「あ〜やっと終わった。」
肩を回しながら廊下を歩く。
ああいう堅苦しい話し合いをすることには異論はないが、どうにも政治的なことばかりを気にする奴らとはノリが合わない。
「なんか嫌な予感がするぜ……。」
これは戦士の勘だ。長年、騎士としてファンド王、いや、ぐへへPに仕えているが、得体の知れない漠然とした不安を感じたのは今回が初めてだ。
「kentax 団長。お待ち下さい。」
考えごとをしていると後ろから声がかけられた。パタパタと軽い足音が背後から近づいてくる。
「どうしたんだい、泡麦ひえ魔法師団団長殿。」
振り向きながら戯けた口調で名前と役職を告げる。
「もう、茶化すような言い方はやめてください。会議、お疲れ様でした。」
泡麦ひえ。魔法師団の団長のため、役柄は同じなのだが、どうにも若い雰囲気でつい年下を扱うような態度になってしまう。
「わざわざ呼び止めるなんて、なんか用事かい?それとも、飯でも食いに行くか?」
普段はお互いに戦場にいたり、後進の育成をしており多く、団長同士が顔を合わせることは少ない。