外伝:再会2
お城に着くと、お出迎えの人がいた。
「ヲキチ様、ファンド様がお待ちです。」
お父様は、優しく「行っておいで」と背中を押してくれた。
この間、案内してもらった赤と白の薔薇がたくさん咲いたお庭。きっとあの人はここを抜けた先にいる。案内してくれるはずの人よりも早く、私は夢中で走っていった。
お庭の真ん中。薔薇に囲まれた椅子と机のある場所に、あの人は座っていた。私を見つけたあの人はゆっくり立ち上がると、こちらに歩いて来る。今思えば、全速力で走りすぎて、私は肩で息をしていたのかもしれない。
「ファンド様!」
彼の姿を見つけた私は大きな声で名前を呼んだ。
「そんなに急がなくても、私はどこへも行きませんよ、ヲキチさん。」
綺麗な笑顔だなと思った。
「お久しぶりです。私に会いたいと言ってくれたそうで、とても嬉しかったですよ。でも、あまり大きな声を出すと、お花たちも驚いてしまいますので。」
口元に指で手をあてて、静かにというサインを出す。私はぬいぐるみを抱いたまま、彼の細くて長い指に魅入っていた。