アナザーストーリー:雨乞いを待つ天使2
信者たちの間にはすでに話を広めている。雨乞いの儀の日取りさえ決まれば、信者たちは集まってくれるだろう。
「そうだねぇ。うわぁ、かわいい。」
ミコエルが由杞からの魔道具を見て声をあげた。渡されたのは"傘"の魔道具。
ミコエルの白い服、青い髪に合わせた色彩になっている。
「どうやら、この魔道具には余剰分の魔力を貯めておける機能があるそうです。ミコエル様、魔力を流してみて下さい。」
ミコエルが魔力を流すと、淡い青色の光が魔道具に灯る。スキルによって魔力が自動的に回復するミコエルにはうってつけの魔道具である。
「"アトラスの軌跡"を発動した後、この魔道具に貯めた魔力を回復すれば、少しは安全でしょう。」
モケケは雨乞いの儀でミコエルを護衛する責任者でもある。ミコエルは気に入った様子で"傘"をさして鼻歌混じりだ。
「ほら、ミコエル様、魔道具に限界まで魔力を込めてから回復に努めてください。」
魔道具の説明を読む限り、魔力の蓄積量は3000。かなりの数値だ。
「わかってるよぅ。モケケちゃんは心配しすぎだから。」