アナザーストーリー:招かれざる客6
その声には賞賛への喜びの感情など一切こもっていない。あるのは明確な敵意。
「その通り。俺は突然変異した力をもったスライム。名は"たちやん"、"夕立P"の称号を持つ者だ。」
夕立Pはそういうと身体を再び変化させた。
「名乗って頂いたのですからこちらも名乗りましょう。私は司書。蛮族暴徒から知の殿堂を守る者。切身魚と申します。」
先に仕掛けたのは夕立Pだった。見た目は誰とは分からない男の顔になっているが、腕の部分が変化したかと思うと、突然、分銅のついた鎖鎌が顕現する。
「くらえ!」
空気を切り裂くような重い音を立てて、分銅と鎖が切身魚に向かっていく。
「その程度では当たりませんよ。」
空中にいる切身魚は器用に横に避ける。
「甘い!」
避けたところで夕立Pが鎖を操ると、先についた分銅が切身魚の避けた方向へと曲がって追跡した。
「私は甘くありませんよ。」
切身魚の顔の手前で分銅がピタリと動きを止める。
「それがあなたのスキルですか、切身魚さん。」
夕立Pは口元を歪めて笑っている。