アナザーストーリー:招かれざる客7
この顔を切身魚は知っている。
狂気の笑顔だ。
「ええ、かつて古代エジプトの首都アレクサンドリアで起きたヒュパティアの悲劇。それを繰り返さぬために編み出されたアレクサンドリア式図書館防衛術。そのすべてを体現するのが私のスキル"モノローグ"ですので。」
そう言うと、止まっていたはずの分銅の先が軌道を変え、夕立Pに向かって飛んでいく。
グシャッという音を立てて、夕立Pの顔の半分が吹き飛んだ。
「痛いじゃないですか、切身魚さん。お陰でイケメンが台無しですよ。」
スライム種に打撃はほとんど効果はない。
形を変えて衝撃を逃してしまうからだ。
「鎖鎌で捉えられないのなら、魔法ではどうですかね?本もろとも壊してあげます。」
いつのまにか、夕立Pは魔法師団団長の泡麦ひえに姿を変えている。放つのは泡麦ひえの得意とする雷の魔法。広範囲にわたる一撃は発動すれば避けられない。
そして、もしこれを防げなければ……
「ほらほら、大切な本が燃えちゃいますよ。"ライトニング"。」
夕立Pの手から雷の筋がいくつも放たれる。
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