アナザーストーリー:招かれざる客10
「俺をここに閉じ込めようってのかい?」
夕立Pはまた別の者に姿を変えている。
「あなたは捕獲して剣闘師団に引き渡す予定になっております。"ミスト"。」
夕立Pと切身魚の周りに霧が立ち込める。
「身体が動くようになったら、今度はミストか。次はこの霧に凝固剤でも混ぜ込む予定かな?」
切身魚は答えない。
「じゃあ、仕方ない。宙に浮いてて、生半可な攻撃じゃ当たりそうにないからな。あんたには特別に俺の"スキル"を見せてやるよ。」
そう。夕立Pがこれまで使っていた"擬態"はスキルではない。スライム種の突然変異によって身につけたいわばオマケのようなものだ。
切身魚は警戒を怠っていなかった。彼女は自身のスキルによって図書館内のあらゆる物を手元に引き寄せることも可能である。先ほど本棚を隠したのはその逆の力、本棚を引き離して別の空間を作り出しただけである。
スライム種への攻撃の基本は"固めて殴って割る"もしくは"魔法で消しとばす"である。だが、切身魚にはそれほど強力な魔法はない。
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