アナザーストーリー:招かれざる客17
「夕立Pさん、まだおやりになりますか?」
切身魚は満身創痍だ。
「そうですね。あまり魔力は残っていないのでセレスティアの歴史書だけ頂ければすんなり帰るつもりだったのですが、どうやらあなただけは殺しておかないと後々厄介なことになりそうなのでね。」
そういうと、夕立Pは羽根に魔力を集め始めた。先ほどの炎の渦だろう。もう一度、あの技を防げるだろうか。切身魚は、本のために残された力を振り絞って、夕立Pの前に立ちふさがった。
「モノローグ。守りの品を私の手に。」
辛うじてスキルは発動した。
「それでは、切身魚さん、図書館の本だけは焼かずに残して差し上げますよ。"ほのおのうず"」
夕立Pの羽根から炎の渦が巻き起こり、切身魚の方へ向かう。引き寄せたアイテムは一時的に炎の威力を弱める鉱石だけ。おそらく耐えきれないだろう。目の前に迫る炎を見ながら、切身魚は覚悟を決めた。
「そこん鳥さんよぉ、図書館じゃあ静かにしろいうて習わんかったんかい?」
切身魚の目の前に立つ、一つの影。
炎の渦は巨大な斧によって切り裂かれていた。
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