爆煙が立ち込める中、魔方陣の上に立つ春沢翔兎が告げる。その言葉に反応にして、空から降りて来た黒い影は、音もなく地面に着地する。
「ととさん、お腹すいた……。」
着地すると同時に尻尾のような部分がピクリと跳ねる。その出で立ちは、ドイルが言った通り、海洋生物のエイに酷似している。背中に羽根のように広がっていたのはヒレに当たる部分、背中の中央部から長く伸びているのは尻尾ではなく尾棘(びきょく)と呼ばれるトゲである。しかし、その姿は人型で、まるでフードを被っているようにも見える。
「えいさん、だからちゃんとご飯食べようって言ったのに。」
そらうみれい。銃を持つその姿から分かる通りスナイパーである。
「だって、何が食べたいか分からないし。」
少し間を置くような落ち着いた話し方からは銃を扱う鬼気迫るような雰囲気は全く感じられない。
「はぁ、仕方ねえ。クロスフェードに行ったら何か食べよう。」
春沢翔兎はやれやれといった表情をしているが、いつもこんな感じといった様子だ。
「させねえよ。」
未だ爆煙収まらぬ中、俺は2人に強襲をかけた。
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