爆煙が薄くなると、そこに見えたのは多くの影、いや、あれは機械だ。よく見ると肩を組んで壁のようなものを作っているのは、人の形をした機械人形だった。
スキル"ジオ"
魔力を使い自立駆動する機械人形を生み出すことのできるスキルである。春沢翔兎自身にも、この機械人形がどこで精製されているのかは分からないが、魔力が続く限り機械人形を生み出し、操ることができる。機械人形には意志はなく、春沢翔兎の思念によって行動する。
春沢翔兎は、ドイルからの攻撃を受ける直前、スキルで大量の人形を生み出し、そらうみれいを庇った。そのおかげで自分を守るのが遅れてしまった。爆煙で相手から姿は見えていないだろうが、自分でも分かる。あと一撃を受けたら終わりだ。爆発が近かったからか、右手と右耳の感覚もない。
「えいさん……生きてるか?」
爆煙の中、春沢翔兎は小声でそらうみれいに問いかける。
「生きてる。あいつ、強い。」
機械人形を介して声が聞こえた。
「ああ、段違いだ。煙のせいで姿が見えてないだろうが、なくなればまた攻撃が来る。だから、えいさんだけでも逃げてくれ。」