アナザーストーリー:審問者1
ファンド王が出立した。護衛と多くの貢ぎ物と共に転移の魔法を使い、姫の実家の最も近い場所から外遊する形をとっている。失礼があってはいけないと、護衛の数は最小限であるが、魔法師団の団長自らが護衛を勤めているとあっては、ほとんどの者は手出しできまい。
クリスエスは、机に向かい黙々と仕事をこなしていた。ファンド王がいない間の大きな仕事は、すでに粗方片付いた。
深夜まで夕立Pの一件の後処理に追われていたが、すでに問題はない。まさかこのタイミングで喜兵衛や切身魚にぶつかるとは思っていなかったが、そういうものだろう。喜兵衛とは、5年程前に一度顔を合わせたことがあったが、強者のオーラを感じずにはいられなかったことを覚えている。そこにラムドPやラングドシャPまで加わったことを考えると、夕立P1人では荷が重い。
本来であれば、切身魚に見つからない予定であったのだが……。
そんなことを考えながら内政官執務室での仕事を一区切りさせたクリスエスは、帰宅する準備に入っていた。