アナザーストーリー:審問者6
向こうでは剣闘師団が防御を固めつつ、順当に狼を倒している。1対多数になるようにうまく陣形を築いているのは、日頃の訓練の賜物であろう。
「しかし、これ以上の深夜残業は、好ましくない。」
クリスエスは羽根を大きく広げる。狼たちはウウウと低いうなり声を上げる。すると、突然1頭の狼がガアッという音と共に口から風の球をクリスエスに向かって撃った。風の初級魔法"空弾"である。魔物化した狼がよく使う魔法だ。他の狼たちも真似をしてクリスエスに空弾を放つ。その数、10。
「喚くな、理性のない獣共が。」
クリスエスは羽根を大きく震わせる。
魔法"エアロブレイド"。竜が得意とする羽根を震わせて放つ大気の刃だ。空弾をすべて軽々と切り裂き、同時に4頭の狼の身体を縦に両断する。残りの狼たちは咄嗟に身体を後ろに逃がしていた。
ウオオオオオオオオオン
狼が再び雄叫びを上げた。先ほどよりも大きい。まるで何かを呼んでいるような?そう思った瞬間、剣闘師団の方から声が聞こえた。
「巨大化した狼の魔物がいるぞ!」
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