そらうみれいはドイルの言葉に反応した。
後ろを振り返ると、たしかに毒の表面がせり上がり、こちらに狙いを定めている。しかも、地面を這っていたときより速度が少し上がっている。自己加速の魔法は使えない。春沢翔兎を置いて1人で泳ぐなら、そらうみれいの方が早い。だが、それはできない。
「追いつか……れる。」
そう思った瞬間、隆起した地面がそらうみれいの目の前に立ち塞がり、毒を止めた。
「そこらへんにいるんだろ!魔法を解除しろ。えいさん。」
そらうみれいは困惑した。どうしてこいつが私たちを助けるのだろう。先ほど、仲間を狙われたのに。ととさんと戦っていたはずなのに。
「早く!」
ドイルの大声で咄嗟にウォーターベールを解除してしまった。
「やっぱりそこにいたか。この土壁じゃ、一時凌ぎにしかならない。すまないけど、2人まとめて運ばせてもらうよ。」
ドイルは、ととさんを抱き抱えたままのそらうみれいの身体を掴むとそのまま全力で移動した。
地面に着く。ごーぶすさんの猛毒は、地面にできた亀裂と、地面が隆起してできた壁に阻まれてまだ追いついてこないようだ。
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