アナザーストーリー:呪詛師の力2
だが、クロスフェードまではかなり距離がある。春沢翔兎を抱き抱えたまま行くには時間がかかり過ぎる。近くには村や町がある様子もない。どうする?
そらうみれいが悩んでいると、春沢翔兎の耳がピクリと動いた。
「えいさん、ゴホッ、何か来る。」
何かが近づいてくる気配を察知したらしい。敵かもしれない。そらうみれいは"ウォーターベール"を発動し、姿を隠した。
しばらくすると、二頭の馬が姿を見せた。背にはそれぞれ男が乗っている。湖の近くに来ると、一人の男が馬を降り、湖の水を口に含んだ。
「うわっぷ、団長、これは海水ですよ。飲めたものじゃありません。」
男たちはどうやら飲み水を探しているようだ。団長と呼ばれた男も馬を降りる。
「ダメか〜。いけると思ったんだがなぁ。」
団長と呼ばれた男は額に手を当てながら困ったような顔をした。
「どうします?さすがに水なしでは行軍が難しいかと。」
話を聞くに飲み水が切れたようだ。ここからさらに南下すると砂漠地帯がある。あそこを抜けるために飲み水を使い切ったのかもしれない。