アナザーストーリー:呪詛師の力9
金星伊津可はとても楽しそうに笑いながら、魔法を唱える。
"餓鬼"
あらゆる異物を喰らうオリジナルの闇魔法。魔法の発動と同時に、金星伊津可の腕から黒い腕のようなものが伸び、春沢翔兎の脚に絡みつく。すると、腕のようなものがビクビクと痙攣し、春沢翔兎の脚の毒で変色した部分から毒を吸い取り始めた。その様子は、まるで脚から血が抜かれているようだった。
徐々に春沢翔兎の脚の色が元のピンク色に戻っていく。毒が抜かれている証拠であろう。数分間で春沢翔兎の脚は元に戻った。
30分ほどが経過しただろうか。そらうみれいも、剣闘師団への水の配布を終えて戻ってくると、そこには顔色の戻った春沢翔兎が横たわっていた。
「ととさん、治った。」
そらうみれいは少し嬉しそうだ。
「もう大丈夫でしょう。毒は抜いておきましたから。」
先ほどの呪詛師だ。
「改めまして、金星伊津可です。魔法師団の副団長を勤めております。」
そらうみれいに頭を下げる。
「マキエイ。ととさん、ありがとう。」