本当にこのあたりに1人、いや、1匹?で住んでいるようだ。
「俺は昔の戦争の時、このスキルで街を滅ぼしちまったのさ。」
ごーぶすさんが語り出した。ちょうどタダトモさんが戻ってきた。どうやらコーヒーを淹れたようだ。いい香りがする。
「皆さん、まずは一息いれましょう。」
タダトモさんがカップを配る。
「俺のスキルの発動には条件があってな。俺が誰かから一定以上のダメージを受けると勝手に出てきちまうんだよ。あの毒は石や草だけでなく機械まで壊しちまう。その上、猛毒だからな、人間だけじゃなく動物まで含めて、ほとんどのやつはアレに触れるだけで致命傷だ。」
ごーぶすはコーヒーを飲んだ。嘴を器用に使っている。
「毒が体に入ると、助からねえ。あれは火をつけたら爆発するから処理も難しくてな。発動すると俺も自分じゃ止められねえんだわ。攻撃してきた相手を殺すまで、毒はひたすら追いかけていくんだ。」
自動追尾していたのは、そのためか。
「でも、周りを巻き込みすぎるから、戦士を辞めてこうやって草原のお守りをしてるってわけよ。あとは誰か女でもいれば最高なんだけどな。」