アナザーストーリー:小さな火種7
「いけっ、"勝利への一撃"」
勝利への一撃は、打撃用の補助魔法だ。その効果は単純で、武器に付与することで与えるダメージを強化する。ミストファイナーが立ったままのTAKUMIに向けてハンマーを振り下ろす。
ゴスッという音と共に、TAKUMIにハンマーがぶつかった。ミストファイナーは驚きで目を見開く。避けられるか、受け止められるかと思っていたのだ。まさか、正面から受け止めるとは思っていなかった。
「いい一撃だが、俺の防御を破るには力が足らん。」
元々、ハリネズミの針のようなトゲは、体毛の一本一本がまとまって硬化したものである。それゆえに、その力を持った獣人は防御に優れる。
魔法やスキルも使わず、ミストファイナーの一撃は防がれた。そして、頭で受け止められたハンマーがそのまま力で押し返され、ミストファイナーはバランスを崩す。
「僅かな夢を抱いて眠れ、"スラムコーク"」
スラムコーク。Mr.HedgehogことTAKUMIのオリジナルの魔法……いや、技である。