アナザーストーリー:一抹の邂逅2
森を抜ける。ここは、王妃の生家につながる一本道のはずだ。
「ん?この気配は?」
少し先に誰かの気配を感じる。おそらく、道をこちらに向かって歩いてくる者がいる。魔法師団の探知にもかかっているかもしれないが、まだメッセージは来ていない。
殺気を感じない。つまり、害があるようには思えないが、確認は必要だろう。よだかは、草葉の影に身を隠し、通る者を待っていた。他の団員にもメッセージをとばす。
"気配遮断"。剣闘師団が使える魔法によって自らの気配を消す。
気配が近い。おそらくもうすぐ目の前を通るは……
「こんなところから人を覗くのはいい趣味とは言えませんね。」
背後を取られた!?
よだかは咄嗟に草むらから飛び出し、道に転がり出る。前回りをして飛び退くような形になったが、よだかはすぐに草むらの方に向き直り、剣を構えた。
「何者だっ。」
よだかの声に合わせて草むらから、ロングコートを着て、帽子を被った男……だろうか、性別がはっきり分からない、何かが姿を見せる。雪でできているのか?