アナザーストーリー:国境線の獣5
ぱるふは、あまり戦うのは得意ではない。
学園に行くのは、あわよくば魔法師団に入れたらいいくらいには思っているが、自分のスキルを磨き、国から公認の資格を得るためだ。
スキル名:ドットエフェクト
ぱるふのドットエフェクトは行動妨害系のスキルだ。相手の攻撃範囲を縮小することなどもできるのだが、今はそんなことを言っている場合ではない。
ぱるふは走った。滑るようにセレスティア側の出口から飛び出す。そこには、大きな音を聞いてどうしようかと立ち尽くしている人々の姿もあった。
「壁の向こうに巨大な敵がいます!避難してください!魔物ハンターの方々は迎撃の準備を!」
ありったけの声で叫ぶ。
おそらく魔物ハンターだろう。数名の者たちがこちらへ向かって走ってきている。ぱるふは、後ろを振り向いた。まだ追ってきてはいないようだ。
「………だ。」
こちらに走ってくる魔物ハンターたちが何かを叫んでいる。ぱるふは、耳をすませたが、周りの逃げる音が混ざりうまく聞こえない。
「う……だ。」