アナザーストリー:到着、吟遊詩人1
「これが雨乞いの祭壇……。」
少し濃い緑色のローブを羽織り、濃く彩られた茶色の髪をなびかせている。
「こるん様、お待ちしておりました。」
吟遊詩人こるん。雨乞いの儀を執り行うために選ばれた"歌い手"である。恭しく声をかけられたこるんは、髪の毛を耳にかける仕草をしながら呼ばれた方を振り向く。耳に光る金色の装飾品が輝きながら揺れていた。
「桐エルさん、お久しぶりです。」
まきエルと共に大天使ミコエルに仕える者。以前、雨乞いの儀をお願いした時に会って以来だ。
「大天使ミコエル様もご準備が整ったと申しておりました。祈りの歌のご準備ができ次第、儀式を始めたいと思います。こちらへどうぞ。」
桐エルに案内され、石造りの祭壇のすぐ近くに建てられた小さな家のような場所に入る。そこにはまきエルも待機していた。
「やあ、こるんさん。雨乞いの歌の完成、おめでとう。」
まきエルは笑顔でこるんを迎えてくれた。