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アナザーストーリー:異端の目1 

吟遊詩人こるんは、祭壇を一段一段ゆっくりと登っていく。背後から数え切れないほどの民衆の視線を感じる。

(ああ、私は今、世界で最も注目を集める吟遊詩人だ。)

こるんはこれまでにないほどの興奮を覚えていた。自らの名前が、自らの功績が、世界に広まる瞬間だ。

今日を境に名前は世界を駆け巡るだろう。
皆がこるんを称え、歌を頼むだろう。

「私の歌が……世界を変える。」

こるんの言葉は誰にも聞こえていない。
そして、こるんはまきエルの横に辿り着く。

「よろしくお願いしますよ。」

まきエルに声をかけられたこるんは一礼する。

「お任せください。」

こるんは笑顔で答えてみせた。誰かは分からないが、横に立つ者にも一礼する。

獣人族だろうか?それにしては、どのような獣なのか分からない。むしろその姿は龍に近いような印象を受ける。

「私が気になるかな、吟遊詩人殿。私はクリスエス。龍人族だ。」

龍人族。
龍の力を受け継ぐ一族だ。その力は軽く人を凌駕すると言われている。

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