アナザーストーリー:大天使の降臨1
祭壇の頂上では魔法の火が燃えている。かつて、この火を目印に大天使ミコエルが降臨したらしい。吟遊詩人こるんに任された残された役目は「雨乞いの歌」を歌うことだ。
こるんは頂上から黙って民衆の方を振り向き、両手を掲げる。雨乞いの儀で歌い手の行うべき行動はすべて過去の資料に定められている。
「あ〜〜〜」
声を響かせるようにこるんは声を発する。
祭壇の上から発した声のはずが、その声は下にいるすべての民衆の耳に届いていた。
吟遊詩人こるんのスキル"Each of Voice"
読み方はイーチオブボイス。
吟遊詩人こるんは、音を操る。
自分の声を拡散しているのだ。
声そのものに魔力を乗せるのは、吟遊詩人の基本だ。こるんは、固有のスキルによって、それをより広範囲に届けることができる。
こるんは、祭壇の火に向き直る。
音楽隊の演奏が変わった。
民衆たちがざわめく。
"雨乞いの歌"だ。