アナザーストーリー:天を穿つ光柱2
大天使ミコエルは、ついに"アトラスの軌跡"を発動した。発動と同時にミコエルの身体に込められたすべての魔力が光の柱となって晴れ渡る空へと突き刺さる。
「天よ、お願い。その姿を変えて。」
大天使ミコエルの声と共に光の柱の先端が黒く染まる。そして、柱の先から黒い雲が生み出された。
民衆がざわつく。その黒い雲はまさに雨雲だった。砂漠地帯に雨が降ることはない。
黒い雲が晴天の空を覆っていく。早朝から突然夜になったような錯覚に襲われるほどだ。
黒い雲が発生して少し経ったとき、大天使ミコエルの身体から突然光が消えた。魔力が切れたのだ。ミコエルはその身体を空中に浮かせたまま、静かに漂っている。
光の柱はミコエルから切り離され、次々と空に雨雲を生み出した。
ミコエルは安堵の表情を見せた。どうやらアトラスの軌跡は無事に発動したようだ。
空が黒く染まるが、まだ雨は降っていない。
民衆は雨の降る瞬間を見逃すまいとして、集中している。