「い、いえ、かわいい人形だなと思って、つい。」
手に乗せている人形がおそらくユキちゃんというのだろう。
よだかさんがこっちを不審な顔で見た。そりゃそうだよな。
「ドイルさん……。」
やめろ、タダトモさん、そんな目で俺を見るな。
「あなた、どうしてユキちゃんがかわいいことを知ってるの?」
小金井ささらさんが顔を近づけてくる。ユキちゃんの首が横にかくんと傾いている。まるで質問をしているかのようだ。長い髪の毛が揺れている。
「かわいい人形さんですよね!」
声が上ずってしまう。しまった、SNS怖い。
「そうなの。ユキちゃんはとってもかわいい、そしてとっても強い子なの。」
小金井ささらは髪を撫でる。
「はなぽさん、どうぞこちらへ。団長のところへご案内します。」
よだかさんが話を切って案内を始めた。タダトモさんと俺はその流れに乗って、後ろからついていく。小金井ささらさんも、ユキちゃんの髪を撫でながら最後尾をついてくる。
しんがりを務めてくれているらしい。後ろから時折ユキちゃんと話しているのか、会話が聞こえてきたが、俺はあえて反応しなかった。