アナザーストーリー:空欄4
「………………」
ノヒトが無言で立っている。
「ノヒトさん、ノヒトさん。」
顧問Pがノヒトの身体を揺らす。
「は、はい。あれ?先生……?」
ノヒトは驚きの表情を浮かべている。
「ノヒトさん、先ほども言いましたが、顧問でいいですよ。」
顧問Pは、プロフィールの紙をひらひらさせながらノヒトに告げる。
「突然ボーッとするなんて危ないですよ?しっかりなさってください。それでは当該学生たちの調査は進めておきます。」
顧問Pは書類を手に持つと、そのまま部屋を出て行った。あとにはノヒトだけが残されている。
「顧問さん、ありがとうございます。」
顧問Pに頭を下げると、自分の手に一枚のプロフィールが残っているのを確認した。その一枚を見ると「越黒リタ」と書かれている。
「なんでこの書類があるんだろう?」
越黒リタの書類に目を通すが、特に不備は見当たらない。ノヒトの仕事は受験生の書類の不備について確認をすることだったはずだ。