「後続には徳皆無もいるから、心配ない。よだか、ワンマイ、お前たちは後続と一緒に戻って来てくれ。魔法師団からは4名ほど残していく。」
そして、俺たちは石の祠の中に入った。入り口や見た目に反して、中はとても広い空洞のようになっている。
「空間魔法の一種ですよ。こういった部屋のようなものを維持する魔道具がありましてな。お高いですが……。」
はなぽさんが小声で教えてくれた。
魔法ってなんでもありだよな。
足元に目をやると、赤色の魔法陣が描かれているのが分かった。
「これは、転移の?」
ごーぶすさんがあの時描いていたものによく似ている。誰に話したわけでもなかったが、返事が返ってきた。
「そうです。これは転移の魔方陣。」
あれ?誰の声だ?
聞いたことのない女性の声だったような。
「団長。」
小金井ささらが団長と呼んだ。つまり……
「よぅ、団長さん。どうしたんだい?」
kentaxも目の前の女性を団長と呼んでいる。
「あまりにも遅いので、クリスエスさんに頼まれて迎えに来ただけです。」
泡麦ひえ、彼女こそ魔法師団の団長その人であった。