「"クラフト"」
はなぽさんがスキルを発動すると、手の中にある毛皮が光りの中で姿を変えていく。
短い時間で猿の毛皮は、一枚の紙に変わった。羊皮紙のような紙だ。
「おっ、腕は落ちてねえみたいだな、はなぼさん。」
kentax団長は少しふざけたような言い方をしながら、出来上がった紙を見ている。
「はなぽさん、お預かりしても?」
泡麦ひえ団長が、紙を受け取る。
「それでは失礼して。私は記述する。"シール"」
"シール"、刻印の魔法だ。特定の物質に文字を記入する初級の魔法だが、たしか文字が書けない物質には効果がない。あとは、人や動物など生きている物にも文字は書けない。手紙を書く時などに使用される魔法だと理解している。
泡麦ひえ団長の魔法が発動すると、紙に文字が浮かび上がって行く。
「団長たちの推薦状があるなら、市民証はほぼ永住権をもらえますよ、よかったですね、ドイルさん。」
タダトモさんが話かけてきた。そんなに効力があるのか、推薦状。
「発行所ってどこにあるんです?」
街の構造がよく分からない。