「ユキちゃん、かわいい。」
横で小金井ささらさんがよくわからない同意の仕方をしていたが、うん、これはそういうものだと理解しておこう。あれ?俺は今、どうして「ユキちゃん、かわいい」が同意だって分かったんだ?
俺たちはタダトモさんの先導で歩き出した。
大通りは行き交う人も多く、店も豊富だ。宿屋、道具屋、武器屋、色々と並んでいて目移りする。洋服屋の前では、小金井ささらさんがふいに立ち止まって「ユキちゃんの新しい服」と言っていたりもした。
どうやら道具屋と武器屋はこの街にはここしかないらしく、わりと有名な店のようだ。別に工房なんかもあるらしい。
ボカロ丼にも製作を生業にしている人が何人かいたな。
少し歩くとタダトモさんが、大通りを避ける横道に案内してくれた。大通りを横にそれると、人通りは少し減る。
クロスフェードの街の特徴なのだろうか。店の上階が人の住むマンションのようになっているところも多いようだ。
「クロスフェードの街中では一軒家はほぼありませんよ。クロスフェードの郊外には住宅地もありますけど、みんな、便利なところに住みたいですから。」
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