二階へ登ると受付の女性が俺を応接間のような場所へと招き入れた。部屋にはすこし大きめのソファと机がある。簡素と言えば簡素だが、落ち着いた雰囲気の部屋だ。受付の女性は俺をソファへと促すと、奥の部屋に入っていった。俺はタブレットを取り出し、アイテムボックスを起動する。
「登録にはたしか市民証がいるからな。」
アイテムボックスから市民証を取り出し、人が来るまで待つことにした。
ギイッという音を立てて、ドアから入って来たのは先ほどの受付にいた女性……ではなく、細身の体躯をした長身の男性だった。眼鏡をかけた表情からしっかりした印象を受ける。
「あなたがドイルさんですね。初めまして、クロスフェード冒険者・魔物ハンター協会の支部長を任されているonzeと言います。」
「ボカロ丼」で聞いたことのある名前の男性だった。この人が、onzeさんか。
「初めまして。ドイルです。」
俺はソファから立ち上がり頭を下げた。
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