俺は座ったまま、ドアの方を向く。
「何があった?」
onzeさんがその場で説明を求める。
「分かりません。ただ、先ほど、冒険者さんが入ってきて『突然襲われた』と。全身にかなりの傷を負っています。」
俺もその話を聞いてソファを立ち上がった。辻斬りみたいなものだろうが、放ってはおけない。
「そうか。それで医者には?」
onzeさんの表情が険しくなる。
「すでに連絡しましたが、夜なので。到着にはまだ少しかかります。治癒魔法の使える魔法師も協会には来ていませんでした。」
そうか。治癒も回復も適性がないと使用が難しい魔法だったな。魔法師団にはそれなりの数がいるらしいが、ここにはいなかったのだろう。
「それは……困ったな。協会に回復薬の備蓄はあるか?」
onzeさんの質問に受付にいた女性は首を横に振る。
「さすがにあの傷を癒せるだけの回復薬はおいておらず。」
側から聞いていて状況はよろしくない。
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