アナザーストーリー:実験レポート2
「白継さんにお願いしておきますね。」
白継は梟の力を持った獣人だ。試練の島で観察者をしていたはずなのだが"何か"が起こり、それ以来、別の役割を担っていた。
ここはシルバーケープにある試練の島1468。冒険者・魔物ハンター協会から「黙認」された島に立つ研究所だ。
「もう少しデータが欲しいですね。」
黒い塊がゆるりと動いた。暗い中で動いたその塊が振り向いた瞬間、目に入ったのは長い嘴だった。
「他の獣人を捕まえに行くんですか?」
その女の声に反応したのか、黒い塊が動いたことに反応したのか、暗い中でバサッバサッという羽音が聞こえ「クワッ!」という鳴き声が響いた。暗くて見えていなかったが、それはどうやら烏のようだ。女の腕に留まっている。
「私はデータ収集に行くだけですよ。」
そういうと、黒い塊の姿が露わになった。その姿は「ペンギン」。漆黒の身体にギロリとした目が光る。フリッパーを少しだけパタパタと動かしている。見た目の愛くるしさとは対照的に、周囲に醸し出す雰囲気には寒気すら覚える。