「受験生の諸君……」
突然、大きな声が響いた。中年くらいの男性の声だろうか。
「ようこそ、我らが学園『ORiON』へ。我々は君たちを歓迎する。」
ロールプレイングゲームのテンプレートのような挨拶だが、周りの受験生たちの中には感嘆の声を漏らしている者もいるようだ。
「私はmai。ナチュラルPの称号を持つ『ORiON』の学園長である。」
これが学園長の声。この人も、もしかして「ボカロ丼」にいた人なのだろうか?周りからは小さな拍手も起こっている。学園長になるくらいだから有名人なのだろう。
挨拶(?)が終わると受験生たちが中へと案内されていく。中は見た目に反してかなり整備された空間であった。目の前には受付が設置され、五名程の職員が並んでいる。どうやらすでに受付は始まっているようで、受験生たちは列を成して受験票を受付に出している。列が捌けるのは思ったより早く、受験生たちは受付が終わると、それぞれで練達場の奥へと進んでいく。行く場所が異なっているように見えるので、おそらく中に入ると試験会場が違うか、班分けがあるのだろう。少し待っていると、俺の番が来た。
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