地鳴りが聞こえる。ステージの目の前にあった地面が競り上がり、数メートルの高さまで登っていくのが見えた。どうやら試験が始まるようだ。
「あら、試験が始まるみたいですね。ドイルさん、お互いに頑張りましょうね?」
越黒リタは手を差し出してきた。握手を求めているのだろう。この握手を受けるべきではないと直感的に思うが、周りが全く気がついていないことを考えると、ここで理由もなく断るのは失礼すぎる。
俺は差し出された右手を握るため、汗をかいていた左手の拳を開き、服で汗を拭う。そして、差し出された手を握り返した。このプレッシャーの中、よくこれだけのことができたと自分を褒めてやりたい。
握手を終え、手を離そうとした瞬間、越黒リタが俺にグッと顔を近づけてきた。俺は後ろに飛び退きそうになり、顔を逃した。だが、越黒リタはいきなり後ろに下がった俺の耳元まで一気に近寄って来た。そして、耳打ちする。
「あなたも大変ね。どこかの鳥さんを倒したことにされちゃって。私のもう一つの名前は闇姫P。今度は一緒に遊びましょうね、転生者さん。」