男の声だ。声を聞く限り、俺よりは年上だろうか?いきなり攻撃してこないところを見ると、話の通じる相手なのかもしれない。
「俺はドイル。ドイルだ。」
まずは名前からだ。
「ドイルさんですか、聞いたことのない名前ですな。何をしにここにいらっしゃったので?」
何て答えればいいんだ。
ミコエル様に何となく転生させられました。
分かってもらえるはずがない。そもそも、ここはミコエル神殿。
ここにいるということはおそらく信者だ。
TOMOKI++さんが言っていたことが本当なら、ミコエル教は、大天使ミコエルが降臨するのを待ち望んでいる。それにも関わらず、見も知らぬ奴がいきなり、ミコエル様に会ったとか、主張して信じてもらえるわけがない。どう答えるのが正解なんだ。
「お答えになれないのですか?どなたか存じ上げませんが、怪しい方を逃すわけにはいきませんね。」
こうなったら……
「俺はドイル、転生者だ。」
詳しいことは省略。今は怪しくないことを分かってもらうしかない。
「転生?そんな話は聞いたことがないですな、嘘をつくならもっとマシなものがよいかと。」