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「ミコエル様……少しよろしいでしょうか?」
「どうしたのです、まきエル。突然私を呼び出して。」
「いえ、ミコエル様にお伝えしなければならないことがあり、お探ししておりました。」
「何事でしょう?」
「こるん様より、雨乞いの儀を執り行って頂きたいと進言がございます。」
「雨乞いの儀を?」
「はっ、現在、世界が慢性的な水不足になりつつあるとの報告があがっておりまして、それを憂いたこるん様が歌によりミコエル様に直談判を。」
「そういえば彼女は吟遊詩人でしたね。まさか私がいない間にそのようなことになっていようとは。わかりました。すぐに準備を致しましょう。」
「ありがたき幸せ。すでに由杞様にもご協力を要請してあります。」
「由杞さんも雨乞いの儀に協力を?」
「左様でございます。微力ながら私、まきエルもお力添えを。と……ミコエル様、どちらへ。」
「急ぎ、雨を望んでいる者たちもいるでしょう。すぐにでも儀を執り行います。」
「まもなく準備が整いますゆえ、もうしばらくお待ちを。こるん様にもお伝え致します。」