another story (???)
「ーー様、ミコエル教が雨乞いの儀を行うとの情報が入りましてございます。」
走って来た男が告げる。息を切らしているのか、名前が曖昧だ。
「すでに吟遊詩人から聴いておる。あやつ、惜しげも無く歌をくれてやるらしい。全く……自分のことしか考えない詩人も困ったものだ。」
「どうなさるおつもりで?」
別の声が響く。
「お前か。いや、せっかくだ。雨が本当に降るかどうか確かめてやるのも一興だろう。」
「随分と悠長に構えておいでですね。部下の中には痺れを切らしている者もいるというのに。」
「ミコエル教に手を出すのはまだ早い。アレに手を出すということは神と喧嘩をするに等しいのだからな。急いては事を仕損じると言うだろう?」
「兵は神速を貴ぶ、とも。」
「随分とつっかかってくるじゃないか。ああ、報告ご苦労。下がっていいぞ。」
そう言って、手を振る動作をする。
「かしこまりました。」
男は立ち上がり部屋を出た。
別の声の持ち主がこちらを振り向く。
「今日は面白い手土産を持って来たんだ。どうやら転生者が来たようだよ。」
#ボカロ丼異世界ファンタジー