「いやぁ、何度も言うが先ほどは申し訳なかった。」
男は、飲み物を口にしながら笑っている。
「僕も急にスキルを使ったりして申し訳ないです。」
こちらは先ほど闇の魔法を食らった若者だ。手にはマグカップを持っている。
「分かって頂けてよかったです。」
俺と先ほどの2人は壊れた礼拝堂の床で飲み物を楽しんでいた。
最初に攻撃を仕掛けてきた男は"はなぽ"、ほしてもう1人の若者は"タダトモ"と言うらしい。あのあと、魔法で治療をして目覚めてから誤解を解くまでにしばらくかかったが、何とかなったようだ。
せっかくだから少し時間を遡ってみよう。
「む、むぅ。」
うめき声と共に"はなぽ"と呼ばれていた男が目を覚ます。
「ここは……」
まだ頭がはっきりしない。
「目が覚めましたか。」
知らない男の声が聞こえて、はなぽの意識は覚醒した。
「あんたは、そうだ、私は神殿に侵入した奴を捕らえようとして……。」
徐々に記憶が鮮明になる。
「そうか、逆に返り討ちにあいましたか。」