思い出した。スキルを使った魔法がいとも容易く破られたこと、爆風の中で無傷で立っていた目の前の男のこと、最後の記憶は美しい光の雨だったが……。
「先程はすいませんでした。」
目の前の男は突然頭を下げた。
「襲われたとは言え、意識を失うほどの威力の技を使ってしまって。まだ力の加減がわからないんです。」
この男はなぜ謝っているのだ。先に捕獲しようとしたのは、こちらなのに。
「い、いや、私の方こそ、突然すまない。今、この神殿に入ってくることができるのは、許可を得たものだけなので、てっきり敵の残党かと思ってしまった。」
「えっと、はなぽさん、でいいんですかね?残党って何のことなんですか?」
どうやら目の前の男は本当に何も知らないらしい。それに見た限り、悪人にも思えない。
「たしかに私は"はなぽ"、王より"わんわんP"の称号を賜っている"建造士"。残党のこと、本当に知らないのですかな?」
「自己紹介してなかったですよね。僕は"ドイル"、信じてもらえないかもですけど数時間前に"レミルメリカ"に来たばかりです。」
はなぽは、記憶を辿る。