「素材が足りない時はどうするんですか?」
もう少し聞いてみたい。
"クラフト"があらゆるものをつくることができるなら、有用性の高いスキルであることはまちがいない。
「魔力で補います。素材は木でも鉄でもあるに越したことはありませんが、無限にはありません。かと言って、鉄を薄く伸ばしてしまえば素材は少なくて済みますが、強度は落ちます。今回は木片が大量に残っていたので楽に直せましたが、足りないところには魔力を注ぎ込んで同じ部品をあてがうのです。」
はなぽさんのスキルは基本的には等価交換の原則で成り立っているが、魔力さえあればどのようなものでも作成できるようだ。便利なスキルだな。
「いつ見ても、はなぽさんの"クラフト"は勉強になります。それじゃあ、次は僕の番ですね。対象を指定します。」
はなぽさんが直した椅子にタダトモさんが手を触れる。特に椅子に変化はない。
「僕のスキル"ミライノート"は、このノートを持ったまま、対象とするモノに手を触れると発動するんですよ。ほら。」
タダトモさんは先ほど顕現したノートのページを開いて見せてきた。