アナザーストーリー side プロムナード3
「別の筋から、雨乞いの歌が完成したという報告が上がってきましたので、KAIさんにもそのように伝えておきました。何かされるおつもりですか?」
プロムナードは水すら人工的に生成しているため、雨の有無で影響を受けることは少ない。しかし、セレスティアはそうはいかない。自然と共に生きるあの国は雨が降らなければ農作物が枯れてしまう。
「いいえ、特に何も。雨乞いの儀は数十年前に行われて以後、一度もなかったと聞いていますから興味もあります。」
プロムナードを治める若き王。彼はそのスキルと知略で王の地位を築いた男である。
「儀式が成功すればミコエル教がさらに力をつけることにもなりかねません。」
藤杜の心配も最もだ。
「いえいえ、雨乞いをしようがしまいが、ミコエル教は強い。それは揺るぎませんから。それに私たちは勝ち負けを競っているのではありません。それに何にせよ、"ゆかいあは正義"。この変わることのない事実があるならば何の問題もないのです。」
なるほど、分からない。藤杜は時々この王の言葉が理解できないことがある。