アナザーストーリー side シルバーケープ3
"試練の島" 危険度5
登録番号1468
ガサ、ガサッ……
茂みから音もなく飛びでてきたのは一羽の梟だった。全身を灰色の体毛に覆われている。梟は首を真後ろに回転させた。
どうやら何者かに追われているらしい。
少し間を置いて、同じ茂みの中から黒い影が飛び出してくる。こちらは、バサッバサッという大きな羽音だ。
「だめだ、振り切れない。」
そう言うと、梟は人の姿になった。灰色の髪、灰色の服、全身が灰色で、眼光は鋭く黒い影を見つめている。
『灰雪(はいゆき)』
魔法だ。発動と同時に黒い影の周囲を灰色の雪が舞い、視界を塞ぐ。黒い影は雪に阻まれて動きを止めた。
烏だ。一羽の烏が羽根を広げている。
「烏?この島に烏の魔物はいないはず。」
言うが早いか、ナイフを取り出して烏に向けて投擲した。ヒュッという音を立てて『灰雪』の隙間から烏にナイフが飛ぶ。
キンッ……
烏はナイフを嘴で弾いた。明らかにおかしい。烏の魔物にはこれほどの敏捷性はないはずだ。となれば……
「誰だ!私を"白継"と知ってのことか!」
#ボカロ丼異世界ファンタジー