アナザーストーリー side シルバーケープ5
『灰雪』
白継は同じ魔法を発動した。
今度は烏の足止めが目的ではない。灰雪は元々隠密用の魔法だ。灰色の雪が辺りを覆い、自らも灰色の梟に変化する。これで相手は視界で白継を捉えることはできない。
このまま魔法を撃ち、相手怯んだところで全力で逃げる。それしかない。
『フローレン』
攻撃魔法としてはそれほど強くはないが、周囲に展開する雪を氷の塊にして撃ち込む魔法だ。少しでも隙ができればいい。
魔法が発動し、烏の周囲にある雪が氷の塊に変化した。
クワァッ!!!
烏は大きく鳴き声をあげるが、そのまま氷の塊をその身に受けた。
いまだ!白継は全力で飛んだ。
音もなく、茂みをかき分ける。
木々の隙間から外が見えた。
島の端はあそこだ。茂みを抜ける。
バッッという音と共に、白継は茂みの中から飛び出した。
「ハンターの皆様、お気をつけください。烏の魔物……が……。」
茂みを抜けた白継が見たものは、もはや原型を留めない肉塊と化した魔物ハンターたちの姿だった。